コテコテのアメリカンロック Omar & The Howlers
まずは、オマーがデビューした1980年代半ばの話しから・・・
1983年 ブルース・スプリングスティーンが、「Born in the USA」をリリースした。パワフルなボーカルとドラムの裏打ちとリフを強調した明快なサウンド。
これは、彼の最大のセールスを記録するアルバムとなった。もちろん私も購入したが、スプリングスティーンの気迫あふれるボーカルはともかく、これが、自分が彼に求めていたサウンドだったのかと戸惑った記憶があります。
その頃の私は、ボブ・マーリィに惹かれてレゲエをよく聞いていました。また、中村とうようさんの発行する「ミュージック・マガジン」を愛読していたので、サルサや中南米、アフリカンポップも聞いていました。それらは、繊細でリズミカルな音の絡み合いがとても新鮮でした。
そんなところに「ボーニィン ザ ユェスエー」の剛球だったので、たじろいでしまったのでした。
思えば、1975年「明日なき暴走」を聞いたとき、そして、ローリングストーン誌の有名な記者、ジョン・ランドウが、「ロックの未来を見た。彼の名は、ブルース・スプリングスティーン。」と書いたと知ったときから、私は、彼が、ロックの新しい世界に、自分を連れて行ってくれるんだと思い続けていました。
スプリングスティーンのその後は、ここでは省きますが、この80年代中葉、この直球なアメリカンロックが、音楽シーンを席巻していました。ヒューイ&ニューズなどが大ヒットを飛ばしていました。そのいかにも「アメリカ的」なサウンドに、食傷していた私は、ポップス(洋楽)のアルバムをほとんど購入しなくなっていました。
その頃は、東海大学の学園祭にやってきた(!)ザイールのリンガラ・ポップの雄「ザイコ・ランガ・ランガ」や よみうりランドにジャマイカのレゲエバンド ブラック・ユフルーを聞きに行っていました。
と、やっとここで、オマー&ザ・ハウラーズの話し。
オマー・ケント・ダイクス(Omar Kent Dykes)は、1950年生まれ。スプリングスティーンと同年代。80年にアルバム Big Leg Beat デビューしているが、その後は、鳴かず飛ばず、(聞いてみると音が、しょぼい)87年 Hard Times in the Land of Plenty が50万枚のヒット。その後、現在に至るまで、活躍しています。
オマー&ザ・ハウラーズは、日本では、ほとんど知られていないと思います。自分も知らなかったし、いま、検索をかけても日本語の記事は、ほとんどありません。
テキサスはオースティンを拠点とするブルース・ロック・バンド。ブルースを軸に、ロックンロールあり、アメリカン・ロックあり。メタボな腹から振り絞り出される、オマー・ケント・ダイクスのシャガれたシャウトも存在感たっぷり。(ネットショップ サンマルチノから) ぐらいなものです。
オマーは、イケメンでもないし、ひげ面で、体形もぽっちゃり、というか、ファットマン。声も、シャウト系で、いかにも白人の田舎いロッカーです。昔だったら、見向きもしないだろうけど、今は、ポピュラー音楽聴き始めた頃の、この音が心地よく感じます。
それに、自分の音楽スタイルの基本を変えることなしに、ここまでやっているのがすごいと思います。 ギターのリフをいかにベース、ドラムにかっこよく乗っけるか。そのために、ブルース、ロックンロール、カントリーを取り込んで音を作っていく。
なので、いかにも「どっかで聞いたぞ」みたいなのがでてくるんですが、それを思い出すのも楽しい。
それに、ギターのソロやメロディが、「泣き」が入っていて、(演歌でいうあの「泣き」にも通じる気がします。)「そう 来るかぁ!」なんて感じで聞いています。
日本でCDが出てないのは、いかにもアメリカ的すぎるからかなぁ。
Omar & the Howlers - Border Girl 1984
Omar & the Howlers - Mississippi Hoodoo Man 1987
Omar & the Howlers - Bad Seed 1988
Omar & The Howlers - Dangerous Man 1995
Omar & The Howlers - White Crosses 2003