箱根 震源移動

 今月15日ころ、大涌谷付近の地震発生数が減って、湖尻(芦ノ湖北側)に地震が集中していたので、ここに、新たな噴気が発生しるような変化があると心配だと考えていました。どうしても、地震の集中=なにがしかの危険の増加。と考えてしまいます。(このあたりが、素人の悲しさです。)

 Profの教示に従って、湖尻への震源移動について文献をあたってみました。
その結果、
①過去にも湖尻周辺では、地震が集中して発生していたことがある。湖尻周辺での、単独の群発地震もある。
②2001年の群発地震でも、大涌谷〜湖尻の移動がみられる。
③湖尻の地下の断層や地震の発生機構についてのデータもある。
 ことなどがわかりました。
箱根に限らず、自然の変化(人に被害を与えると、災害です。)が、いつも同じパターンで進行するわけではないので、今回は、どんな特徴があるのか理解できるようにみていきたいと思います。
 
 箱根は、神奈川県の温泉地学研究所において、観測機器が強化された1988年から詳細な地震観測、研究がされてきた。探してみると、地下の断層構造が詳細に明らかになっていました。(これは、すごいです。)
 カルデラの地下に17の断層が推定されています。大涌谷や湖尻の地下にも想定されています。圧力源(熱水、蒸気など)の通り道と考えてよいと思います。

神奈川県温泉地学研究所50年のあゆみ
5−2 地震分野の調査研究 P58
http://www.onken.odawara.kanagawa.jp/files/PDF/tayori/SP_50thAnn/50thAnn_05.pdf


箱根火山の地震活動(1990 年〜2007年)とその発生機構
http://nh.kanagawa-museum.jp/files/data/pdf/res-rep/13/chouken13_187-194_tanada_s.pdf
 2001年の地震経過が記載されています。
この時も大涌谷付近の地震が低下した時に芦ノ湖北岸付近に活動が活発化したことが報告されています。
 このときは、湖尻に震源が移動した後、終息に向かっていったようにも見えます。(何とも言えないかな?)

 箱根の群発地震の発生の仕組みは、伊豆東方沖の群発地震の地殻に割れ目にマグマが上昇するモデルと違い、
駒ケ岳深部でのマグマ付加作用 →山体隆起による張力場の形成 →熱水供給路の開通 →ごく浅いところでの開口クラックの形成と地震活動の活発化 →熱水供給路の閉塞 →駒ケ岳深部での地震活動 →駒ケ岳深部でのマグマ付加作用 というサイクルが提唱されています。
 地震の発生地点の変化を理解するのに役立つかと思いながら読んでいました。(理解能力に問題があるが…)
 私は、伊豆に住んでいるので、群発地震→地下のマグマの運動会と思っていましたから、いろんな要件があるんだと教わりました。


箱根火山における群発地震活動の分類
http://www.onken.odawara.kanagawa.jp/files/PDF/houkoku/45/houkoku45_p01-08.pdf
 2001 年以降、箱根火山で観測された 6 回の群発地震活動について、震源域や時間変化のパターン、及び、その統計的性質(b 値)を基に、相互の違いを検討した。
 その結果、中央火口丘を中心とし 1 ヶ月以上継続する群発地震活動である ES1 型(2001 年と 2006 年、2013 年の活動)と、芦ノ湖北部や湖尻周辺を中心として短期間でバースト的に活動する群発地震活動である ES2 型(2008 年と 2009 年の活動)に分類できる。
 結論は、簡潔ですが、地震のデータが図表で多く示され、理解しやすいです。今回は、全方位型の ES1 タイプのようです。落ち着くまでに数か月はかかるのでしょうか。