御嶽山の噴火をふり返る

 御嶽山の噴火の特集が、月刊「地理」5月号にのったので、読んでみました。

特集:御嶽山噴火 活発化する火山
インターネットを利用した御嶽山2014年噴火の迅速把握と情報伝達 早川由紀夫群馬大学
噴火時の避難行動−突発事象への対応を考える− 朝日克彦(信州大学
御嶽火山の植生が伝える過去の小規模噴火の履歴 小泉武栄東京学芸大学
火山情報発信と噴火予知の難しさ−現状と火山災害軽減の取り組み− 宇井忠英(北海道大学
活発化する蔵王火山 伴 雅雄(山形大学)及川輝樹(産業技術総研)山崎誠子(産業技術総研)西 勇樹(山形大学

 早川教授の論稿には、災害現場から離れたところで、事態を把握し、情報を発信することがツイッターを通じて可能であったことが、記されています。
 ニュース映像で、噴煙から逃げる登山者の様子が、Youtubeから紹介されていましたが、それ以上に手軽な発信ツールであるツイッターには、11:56には、写真付きの噴火情報があげられています。
気象庁の発表は、12:00。その後も写真付きの投稿が現場からあり、それらを、まとめサイトに集約して、閲覧をしやすくすること、報道からの取材がなくても、災害の評価を書きこむことで、報道機関にも情報を提供できたことが書かれています。
 私は、ツイッターの閲覧は、していますが、「まとめ」やツイート、リツイートなどしておらず、ツイッターを使いこなしてはいないので、やってみなくてはと思いました。
 さらに、LIVEカメラの映像なども保存されてネット上にアップされているそうです。掘り起こすスキルを身につけたいです。


 もうひとつ、早川教授の記事で、興味をひかれたのは、御嶽山の噴火のありかたです。
噴火のニュース映像で噴煙が山を下っているのを見て、不思議な感じがしました。普通であれば、モクモクと上に上がっていくものです。ある程度下ってから、噴煙は、上昇していきました。そして、ニュース映像で何度も見た湧き上がる噴煙と、落ちてくる「噴石」と推移していきました。
 これは、今回の御岳山では、噴火と同時に火砕流が発生したからだそうです。
火砕流といえば、雲仙普賢岳が思い出されます。1991年6月3日、巨大な溶岩ドームが一挙に崩壊して、落ちる間に粉々になり、高温の空気と混じって、高速で流れ下り、研究者、防災、報道関係者など43名が死亡・行方不明となりました。
 この前に、何度か、小規模な火砕流が発生していました。なので、溶岩ドームの崩壊=火砕流と考えていました。
 まさか、噴火と同時に火砕流が、流れ下るとは、思いませんでした。(今回は、低温の火砕流とも言われています)そして、登山者を襲ったのは、「噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石」ではなく、流れ下った火砕流にくるまれ、その後、湧き上がった噴煙とともに上空に運ばれた直径3cmほどの石ころだそうです。噴火の後に残された火山灰の上に残るクレーターは、1m以下。大きな火山弾が火口から飛んで来たのではないことを表してる。それでも、200人ほどいたと思われる頂上の登山者の、63人が犠牲になりました。
 気象庁も最初の噴煙を火砕流と認めてはいなかった。(たぶん、これまでに例がなかったから?)その後、火砕流が発生したと認めたのは、28日の夜でした。

 このように、発生した事象を判断するのにも時間を要する(これは、学問的な裏付けを取る必要もあるということだと思うが)のに、これから起こる災害について、100m単位で安全だといえるのだろうかという疑問を抱かせます。

 つまり、箱根の避難区域指定が狭すぎないかということです。明確にいう根拠がないのであれば、広くとることが、人命のためではないでしょうか。温泉のメンテナンスの作業員の方の安全は、だれが保証しているのでしょう?