ママドゥ・ジャバテ Mamadou Diabate - "Nelson Mandela"

2009年「Douga Mansa」がグラミー賞最優秀トラディショナル・ワールド・ミュージック・アルバムにも選ばれたマリのコラ奏者ママドゥ・ジャバテ。
2014年のアルバム、Griot Classique (グリオのクラッシック)から。
 
 コラは、西アフリカで広くみられる竪琴、リュートの仲間の楽器です。元来はジャリ(仏語でグリオ)という世襲制の伝承音楽家だけが触ることを許された楽器でした。
 彼らは、王宮に使えたり、冠婚葬祭で役割を担ったりして、音楽で文化や歴史の伝承の担い手だった。しかし、それで、人々から尊敬されていたかというと、一概にそうではない。
 日本でもそうだったように、近代以前「芸能」を生業とする人たちには、定住、定職を持って働く人たちからは、「異端」「異能」の者とみられ、差別されることもあった。その辺のことは、深く触れないが、網野善彦さんの著書を読むと日本も世界も同じところがあると思う。
 
 さて、コラだ。
 ひょうたんの胴に皮を貼り、中央の太目のネックから胴の中央に立てたブリッジに二十数本の弦が張られます。ネックの両脇に「握り棒」が二本、胴体の補強として横に一本、木の棒が入っています。これを、握り棒に両手を添え、両手の親指、人差指で爪弾いて弾きます。

 ママドゥ・ジャバテは、現代コラ奏者の第1人者トゥマニ・ジャバテの甥っ子。いかつい顔に似合わず、繊細で美しい音色を響かせます。
このアルバムのコラのソロ演奏は、「アフリカ音楽は、リズムが胆」という先入観を変える、感嘆があります。
 
 以前のアルバムでは、他の楽器とのアンサンブルで現代に生きるコラの姿を見せてくれていた。また、マリンバ(ひょうたんぶら下げた木琴、こっちが本物)のリズミカルな演奏もいい。
 今回のアルバムは、コラの単独で伝統的に則ったメロディと和音が奏でられます。()
 
 簡単に、癒しとか言いたくないけど、木陰で優しい風に包まれているような気持ちになります。
 2013年亡くなった南アフリカの黒人指導者・前大頭領のネルソン・マンデラにささげた曲と思います。 
 

コラの写真は、ジャンベ・民族楽器屋JUNJUNさんから拝借しました。m(..)m
http://www.info-niigata.or.jp/~junjun/inst/kora/kr-6.html
ちなみに、このコラは、17万円だそうです。