箱根町周辺の火山・地震活動

 箱根山で4月26日から小さな地震が観測されていたが、山の膨らみを示す傾斜計にわずかな変動が観測され、気象庁は、5月3日18時に「火山の状況に関する解説情報」を発表しました。

 昨年9月の御岳山の噴火の記憶が鮮明なので、どうなっていくのか心配です。現在の情報で、判断できることを考えてみました。

1 地下水が圧力を受けて群発地震を起こしていた。
 群発地震は、地下で、流体が動くことによって起きます。今回の箱根の群発地震は、大涌谷から駒ケ岳付近の2kmの範囲の地表近くで、小さな地震が発生しています。これは、広範囲に存在する地下水が、ある原因によって圧力が高まって動いたことによるものと思います。

2 今後の推移は、マグマの上昇を示すデータが観測されるかによる。
 5月3日から震源が深さ4km付近でこれまでより大きな地震が発生してきました。震源もある筋道に沿って発生しているように見えます。マグマの上昇は、地下のマグマだまりから地表に向けて、岩盤を押し広げて上昇します。震源は、その道筋を示すように広がります。
箱根山のマグマだまりは、地下10km付近にあるとされています。このあたりに向かって、震源が移動していくと、警戒のレベルが上がってくると思います。
地震の発生数の増減とともに、発生地点の推移について見守っていく必要があります。
 
3 箱根は、神奈川県温泉地学研究所気象庁の観測網が充実しているので、急激な変動でない限り、兆候をとらえることは、可能と思います。
《参考》神奈川県温泉地学研究所のHPから箱根火山地震の発生メカニズムに関する研究
箱根火山の詳細な震源分布に関する研究

神奈川県温泉地学研究所の観測データ


気象庁地震火山部 平成27年5月3日18時00分 発表
火山名 箱根山 火山の状況に関する解説情報 第1号
**(本 文)**
<噴火予報(噴火警戒レベル1、平常)が継続>

1.火山活動の状況
 4月26日14時頃から大涌谷付近から神山付近の浅い所を震源とする火
山性地震が増加しています。
 気象庁神奈川県温泉地学研究所が設置している傾斜計に、この地震活動
に関連するとみられるわずかな変動が観測されています。
 神奈川県温泉地学研究所によると、5月3日朝より、大涌谷の温泉施設に
おいて蒸気が勢いよく吹き出しているのを確認しています。
 これらのことから、箱根山大涌谷浅部における熱水活動が不安定な状態
となっており、今後、大涌谷付近では規模の小さな噴出現象が突発的に発生
する可能性があります。
 なお、気象庁では、明日(4日)機動観測班を派遣して、現地の状況を確
認します。

2.防災上の警戒事項等
 箱根山大涌谷浅部における熱水活動が不安定な状態となっています。大
涌谷付近では規模の小さな噴出現象が突発的に発生する可能性があります。
 箱根山は活火山であることに留意し、地元自治体等の指示に従って危険な
地域には立ち入らないでください。

箱根町周辺の火山・地震活動(箱根町HPから)

現在の箱根火山の噴火警戒レベルは1(平常)となっています。

 平成27年4月26日午後2時頃より、やや活発な地震活動が観測されています。
 これに伴い、平成27年5月4日午前5時から、次の措置をとることにしました。
 1 大涌谷自然研究路の閉鎖 
 2 ハイキングコースの一部区間の閉鎖  
 

気象庁HPから
箱根山 有史以降の火山活動



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