子ザルにシャーロット その後

ネット上での書き込みなどを見て、抗議する気持ちを考えてみた。

日本人にとって皇室やある権威を持った人たちは、自分たちと違う世界の存在である。
公式の場では、たちふるまいから言葉遣いまで、庶民とは異なる。
庶民は、あくまで「目上の人」として、関係を持たなくてはいけない。
ニュースを見て、「今日の明ちゃんの挨拶は良かったね。」というふうに話題にしてはいけない。
その人たちを身近な知り合いと同じ感覚で、話題にしてもいけない。
 という感情がまず、あるように感じます。

そのうえ、日本語は、対面したり、話題にしたりする相手によって言葉遣いを変えなくてはいけない。
たとえは、、女子高生が女性教師に、「○○ちゃん」などと声掛けしているが、旧来ではありえないこと。

なので、ペットに好きなアイドルの名前をつけてもよいが、「目上の人」の名前などつけてはいけない。
誰が目上かは、関係する範囲による。
近所で誰も会社の上司の名前を知らなくて、家で飼っている白犬に「マサヨシ」と名前つけても問題にはならない。仮に社宅に住んでいるとしたら、まずいだろう。

日本人のペットの名前のつけ方は、ほとんどが、愛称であり、人の名前とは、区別されていた。犬を例にすると、タロー、ジロー、テツ、リキ、テツ、デリー、アカ、クマ、ベック、ジャック、ポチ、ペス、ゴロ、モク、アンコ、トム、ミネ、サブ、ボト、ヨチ、マル、ユキ、ミチ、チャコ、スミ、フジなどなど。
姪っ子が飼っている白ウサギは、マル。

今では、外国の人名をつけることも多い。これは、知り合いに、ジョンやメリーという人物がいないからである。

かたや、西洋では、犬やサルだけでなく、西洋でデビル・フィッシュ(悪魔の魚)といわれているタコにすら人名がついている。
2014サッカーワールドカップでドイツの勝利を予想し続けた占いタコ(ドイツの水族館在住)の名前は、パウル
これは、西洋各国の言葉では、ポール、パウル、パブロ、パウロパウロス、パオロ、パーヴェルとなる。
この名を持つ著名人は、たくさんいますよね。なんといっても、キリストの高弟のひとりが、パウロで、ローマ法王にも、ヨハネ・パウロ2世(1978-2005)パウロ6世 (1963-1978)にもその名はある。

であれば、今回の大分県高崎山動物園で今年最初に生まれた喜ばしい子ザルに「シャーロット」と名付けても、西洋的には、何の問題があるだろうか?

西洋的にみれば、イギリス王室の新王女にあやかって、飼っている動物にその名前をつけても侮辱でも何でもないのであり、日本的には、日本人の名前をつけなければ、(悠仁親王が生まれたときに、動物園のゴリラに「ヒサヒト」などと命名しなければ)問題ないということになるのでしょう。
でも、「ゴンタ」という名前なら許されると思う。「ゴンタ」という名前の人物は、ほとんどいないだろうし、愛称として受けとめてもらえるから。

今回の大分の動物園のシャーロット騒動は、日本人の人と動物に一線を画す伝統的な心情と「お上」に対する心情(畏敬、親近)の持ち方の西洋との違いが表れたものだと思います。

《付け足し》
日本には、目上の人に対する敬意を表す名づけの方法に、字をもらうというものがあります。
これなら、「悠」の字をもらって「悠翔」などいろいろな名前が付けられます。
抗議も来ないし…