Judy Mowatt - Only a Woman(1982)
唐突にレゲエの30年前のアルバムを。
1970年代、レゲエを聞き初めるきっかけは、エリック・クラプトンなどの一部のロックのミュージシャンが、取り上げたことが大きいと思いますが、なんといっても、ジャマイカのアイランド・レコードがイギリスに進出し、ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズやジミー・クリフを紹介したことが大きいのではないでしょうか。
従来のロックに飽き足らなかったリスナーに、ドラッグや事故で多くのミュージシャンを失い、霧散しようとしていたカウンター・カルチャーを引き継ぐ者、現状に抗議し、台頭する第三世界の雄のイメージを与えていましたし、何より、ボブ・マーリーの嘆きと抗議、挑みかかるような歌声。ベースのリフに裏打ちのリズムを刻むエッジのたったギター。クールな男性コーラス。
ロックと異なる音に驚いた人も多かったと思います。 自分もその一人でした。
そこは、また、紹介するとして、ザ・ウェイラーズは、ボブ・マーリー、ピーター・トッシュ、バニー・ウェイラーのトリオだったのですが、海外公演などの活動の仕方を巡る意見の違いにより2人が抜けていまいます。そのあとのコーラス隊に、リタ・マーリー、ジュディ・モワット、マーシャ・グリフィスが、I(アイ)・スリーズとして加わります。
しかし、ボブ・マーリーは、癌を患い1980年に生前最後のアルバムをリリースし、1981年に36歳で死亡してしまいます。
ボブ・マーリーたちは、ラスタファリズム(アフリカ回帰主義に基づく精神文化)とともにレゲエ=音楽活動を行っていましたが、その頃、世界に広まっていたレゲエは、甘い歌謡曲、ダンスホールスタイル(ひねった歌詞をリズムに合わせて言い放つ ラップに近い)など多様化していたのです。
アイランド・レコードは、ボブ・マーリー亡きあと、これをどう引き継がせようかと思ったのでしょう(想像) I・スリーズの才媛ジュディ・モワットに、アルバムをリリースさせました。
この「Black Woman」(1980年)は、レゲエの女性シンガーのアルバムでも白眉だと思いますが、ブラック・コンテンポラリーなジャケットは、アイランドが、抵抗者であり続けたマーリーに代わって、ジュディに新たなリスナーを得させようとしているのだ、とアルバムを買った私は思ったものでした。
マーリーの教えの忠実だったジュディは、どう思っているのだろう、そんな余計なことを考えたものでした。
その答えは、2年後に発売されたこのアルバム「Only a Woman」にありました。
そのジャケットには、マーリーやラスタファリアンが愛用していたドレッド帽子をかぶってまっすぐな視線を放つジュディがいました。
アイランドの売り方にのらず、自分の道を行くことにしたんだ、そのアルバムを手に、そんなことを考えました。
そんな、あの頃を思い出したので、ちょっと紹介してみました。
Judy Mowatt - Only a Woman(1982)
1 You're My People 試聴
2 Only A Woman 試聴
3 Trade Winds 試聴
4 Think 試聴
5 Got To Leave The West (Secret Santana Tapes) 試聴
6 I Am Not Mechanical 試聴
7 On Your Mark 試聴
8 Big Woman 試聴
9 You Don't Care 試聴
10 King Of Kings 試聴