平成27年5月の地殻変動 箱根は、小さな伸び?

国土地理院地理地殻活動研究センターのツイッターを見ていたら、
https://twitter.com/GSI_Research

》2015年4月下旬〜2015年5月下旬の1ヶ月間、電子基準点等のGNSS連続観測網(GEONET)の観測結果から求めた地殻変動を公表しました。
東北地方太平洋沖地震後の余効変動が東日本の広い範囲で見られます。

とあるので、国土地理のHPを見てみたら、
箱根だけ、変な動きがハッキリとみられるじゃありませんか!!

平成27年5月の地殻変動について  【地理院ホーム > 報道発表資料(2015年)】
http://www.gsi.go.jp/WNEW/PRESS-RELEASE/2015-goudou0608.html

•別紙4 関東・中部地方 [PDF形式:220KB]
http://www.gsi.go.jp/common/000103988.pdf

明らかに、箱根を中心に、地殻が広がっています。
これは、通常の状態では、ないでしょう!?

これについての国土地理院のコメントは、
箱根山を挟む基線では、2015年4月下旬から小さな伸びが見られます。」

一方、
阿蘇山周辺の基線で2014年1月頃から伸びの傾向が見られます。(別紙16)
桜島島内の基線では、2014年7月頃から停滞またはわずかな縮みの傾向が見られていましたが、2015年1月上旬頃から伸びの傾向が見られます。鹿児島(錦江)湾を挟む一部の基線で見られた長期的な伸びの傾向は、2013年6月頃からほぼ停滞していましたが、2015年1月上旬頃から伸びの傾向が見られます。(別紙18)

とコメントされている、2つの火山の伸びは、箱根ほどハッキリ見えないようなんだが・・・
•別紙6 九州地方 [PDF形式:379KB]
http://www.gsi.go.jp/common/000103990.pdf

学問的には、このコメントでよいのよいのだろうか?

《自己解決》

箱根は、「小さな伸び」
阿蘇桜島は、「伸びの傾向」 でした。 (-_-;)

いずれにしても、火山活動による地殻変動は、箱根が、最も顕著ということには、変わりはないです。

河津町のバラ園 バガテル公園

河津町のバラ園 バガテル公園に行ってきた。
もう花も終わっているかと思ったけど、株によっては、十分に楽しめました。

運営が変わって、少し、手入れが以前より、大変かなという感じですが、ほかのバラ園よりは、行き届いていると思います。
伊豆の踊子」と名付けられた黄色のバラがたくさん咲いていて、綺麗でした。

 

 

 

 

Kobo Town - Jumbie in the Jukebox (2013)

 北海道の地震、年金機構の情報流出など気になるニュースが続ていますが、ネットで見つけたカリビアン・ミュージックバンドに惹かれてしまったので、こちらを。

カナダで、結成されたKobo Town コボ・タウン バンド名が、かわいいです。
 コボ・タウンは、トリニダードの首都ポート・オヴ・スペイン周辺の海岸沿いについた古いニックネイムだそうです。

 リードヴォーカルや作詞作曲を担当するリュー・ゴンサルヴェスは、ポート・オヴ・スペイン出身、13歳でカナダに移住。
 ちょっと湿った彼のボーカル、ラテンとアフリカ、レゲエとダンスホールのトウスティング(ラップ でも、こっちが本家)を取り混ぜた新しいカリプソのスタイルになっています。
 トリニダード・トバコカリプソは、本来、歌謡曲なんですが、サルサやディスコの影響を受け、現在は、ソウル・カリプソ=ソカとして、ビートの効いたダンスミュージックが主流になっています。でも、コボ・タウンの音は、より伝統的な音を残して、今の音を取り込んでいます。 ここがすごい。

 2・4打ちのロックのリズムに慣れてしまうと、身体に別のリズムを持っている人たちの音楽が恋しくなります。

 
 以下は、芽瑠璃堂HPで紹介されたされたコボ・タウンの記事です。
さすがに、World musicの老舗。付け加えることは、ありません。https://m.facebook.com/merurido?v=info

 ヴォーカルや作詞作曲を担当する中心人物、ドリュー・ゴンサルヴェスはポート・オヴ・スペインの郊外で生まれ、13歳でカナダに移住します。しかし、ドリューはカナダ社会に馴染めず、機会があればトリニダードに戻り、また外にいることで自身のルーツであるカリブ諸島の苦難の歴史を客観的に学べたそうです。そんな彼をなぐさめたのは詩を書くことで、16歳のときにはその詩を活かすためにバンドを結成。それはとても政治的なバンドだったそうです。その後、大学では本格的に歴史と政治学を学んでいます。

 そして2004年にコボ・タウンを結成。メンバーにはトリニダードスロヴェニア、ジャマイカ、中国系インドネシアなどなどさまざまルーツをもつメンバーで構成されています。そんなメンバーでくり出すサウンドカリプソを中心にしながらレゲエ(ダブ)やズークなどのカリブ音楽を取り入れ、ニュー・カリプソともいうべき独自のもの。
 そんなサウンドを詰め込んだファースト・アルバム(2007年発表)はじわじわと口コミで広がり最終的にはヨーロッパにまで伝わって、同地域でツアーを行なうまでになりました。また自主制作だったそのアルバムもドイツのレーベルから再リリースされるなど着実に地歩を固めてきたのです。

 それから5年、ついにリリースされたのがこちらの作品。今回はベリーズガリフーナ音楽を世界中に知らしめたプロデューサー、イヴァン・ドゥーランがプロデュースを担当。さらに地に足のついた汎カリブ音楽的なカリプソを聴かせます。現在のトリニダードカリプソといえばソカのようなテンポの早い打ち込みのスタイルが主流ですが、もちろん彼らはアクースティック編成。カナダからカリプソのスタイルを更新するバンドが出てくるなんて思いもしませんでした。
( Online Record Shop MERURIDO   http://www.clinck.co.jp/merurido/dtl.php?ky=CBR23090 )


Kobo Town - Jumbie in the Jukebox (2013)

 01 Kaiso Newscast 試聴
 02 Mr. Monday 試聴
 03 Postcard Poverty 試聴
 04 Half of the Houses 試聴
 05 The Call 試聴
 06 Joe the Paranoiac 試聴
 07 Diego Martin 試聴
 08 Road to Fyzabad 試聴
 09 The Trial of Henry Marshall 試聴
 10 Waiting by the Sea 試聴
 11 The War Between Is and Ought 試聴
 12 Tick Tock Goes the Clock 試聴

Omar & The Howlers - Monkey Land(1990)

 1987年に、3rdアルバム「Hard Times In The Land Of Plenty」が、スマッシュヒットし、ブルースロックバンドンとしての地位を固めたオマーたちの1作おいた5枚目のアルバム。
 1曲目の「Monkey Land」が、映画の挿入歌に使われたりと、絶好調な時期と思われます。どの曲とっても、オマーのギターがかっこいいリフを刻み、勢いのあるソロを聞かせます。
 ビートルズの「She's A Woman」が、選曲としては、意外。アレンジは、踏襲してますが、歌は、オマー節、全開です。 青臭くなんて歌いません。(笑)
 若々しいポールの歌い方と比べてみてください。
「Fire In The Jungle」懐かしの70年台初頭のブラックミュージックを取り込む頃のロックの味がします。
 (この辺しっかり聞いていないので、誰のなんて曲に似てると、はっきり言えないのが苦しい・・・)
 引き続き、楽しめます。

01 Monkey Land 試聴 (Live in Germany 2005 Monkey Land)
02 Tonight I Think Of You 試聴
03 Big Town Shakedown 試聴
04 She's A Woman 試聴
オリジナルは、こちら
The Beatles - She's A Woman 試聴
05 Fire In The Jungle 試聴
06 Night Shadows 試聴
07 Modern Man試聴
08 Loud Mouth Woman 試聴
09 Dirty People 試聴
10 Ding Dong Clock試聴
11 Next Big Thing

小笠原諸島西方沖の地震

 この地震が、通常では、めったに見られない地震であるということだけをとりあえず、示しておきたいと思います。

 太平洋プレートは、フィリッピン海プレートにもぐり込み、上部マントルから下部マントルの境界面(深さ660km付近)で水平方向に滞留している、と考えられているそうです。
 気象庁が発表したこの地震震源データでもある程度、見て取れます。

 今回の地震は、その太平洋プレート(スラブ)の最下部で発生しています。そして、引っぱり方向の力が働いています。
 これは、スラブが、下部マントルに落ち込む動きをした、ということでしょうか?
(6/1 18:00 追記 スラブが水平に滞留しているとされる位置は、今回に地震よりもっと西側と考えられます。)

 小笠原付近でも、深層地震は発生していますが、深さ600kmより深いところでは、起きていません。
 日本の周囲でも、600km以下の深さで発生した地震は、1885年以降のデータのあるものでは、10回ほどしかないのです。
 
 東日本大震災や、東海〜東南海地震の発生機構とは、まったく違うものだと思います。
 単純に海溝で起きたから、他の海溝型地震の危険性が高まったとは、言えないと考えます。
 
 専門家にしっかりとした解説をお願いしたいと思います。

6/1 18:00 追記
神戸大学名誉教授 石橋克彦さんのコメントを見つけました。

それによると、太平洋プレートの沈み込みを進める方向に作用するということから、

「そうであれば、(太平洋スラブの中で深発地震が続発する可能性に加えて) 伊豆・小笠原海溝沿いの浅い部分での大地震発生に繋がる可能性も考えられる (伊豆・小笠原海溝は、茨城県沖の第一鹿島海山まで続く) 。」
という見解でした。

 太平洋プレートの沈み込みの留め金が一つずつ外れている、という説明には、なるほどと思いますが、《太平洋プレートが一層、フィリッピン海プレートを押す。→東海地震が起きる可能性が高まる。》などと、関連性の連鎖が、強調されてしまい、《とにかく危ない、大地震も噴火も》となって、「煽った方が勝ち」になりそうで、いやだなぁ。
 次に起こる可能性の高いとされている事象が、どう、起きていくのかに注目していきます。

 


 この図は、地震検索システム EQLIST(フリーソフト)を使って作成しました。。
 公的機関のデータベースから日本周辺で発生したマグニチュード4以上の地震情報を検索し、地震諸元を表示し、震源位置を地図上に表示することができます。

 深度100kmごとの震源分布を作成しました。





 T. Kamada さん ありがとうございました。
http://www5b.biglobe.ne.jp/t-kamada/CBuilder/eqlist.htm

この小笠原の深層地震を理解するために必要な知識に、プレート沈み込み帯の構造の理解があると思い調べてみました。

Topic 22 マントル遷移層の化学組成解明
 理化学研究所(RIKEN) SPring-8
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/publications/scientific_results/earth_science/topic22
研究グループは、SPring-8の実験で得たデータを検討した結果、660 km不連続面直上の遷移層下部の地震波速度をもっともよく説明できるのは、「ハルツバージャイト」であるという結果を出した。ハルツバージャイトは斜方輝石かんらん岩とも呼ばれるかんらん岩の一種である。

「プレートの墓場」が存在する可能性

 660 km不連続面直上のマントル遷移層下部の主要鉱物がハルツバージャイトであるという知見は、主要鉱物の同定という成果のみにとどまらない大きな意味をもつ。「プレートの墓場」が確認された可能性を示唆しているのである。

 ハルツバージャイトは沈み込んだプレートの主要物質であることがわかっている。また日本列島直下のようにプレートが沈み込む領域の660 km付近に「スタグナントスラブ」というプレートがたまっていることが確認されている。このプレートはある大きさになると、下部マントルに崩落すると考えられており、「遷移層下部の主要鉱物はハルツバージャイト」という見解によって、スタグナントスラブが地球全域の数十kmから100 km程度に層となって存在する可能性が出てきた。これが沈み込んだプレートが横たわる領域、つまりプレートの墓場である(図3)。

 660 kmに達したプレートがトイレの水を流すように下部マントルに崩落し、地表に大きな変動を及ぼす「フラッシング」というモデルが提唱されている。また崩落した冷たいプレートの塊に対応する量の熱い物質が、マントルと核の境界から崩落に同期して上昇してくる「巨大ホットプルーム」モデルも提唱されている。しかし「プレートの墓場」が広範に存在するなら、多くのプレートは660 km付近の領域にとどまることになる。すなわち「日本沈没」に象徴されるような急激なプレートの崩落による地殻大変動は起こらないことになる。この一連の成果は、2008年2月、英科学誌『Nature』で紹介され、世界の注目を集めた。

日本周辺の太平洋プレート(スラブ)の位置についての研究があり、スラブの位置が地震震源と対応していることがわかります。

沈み込んだ海洋プレートがマントル遷移層に滞留するときに生じる亀裂を世界で初めて発見
 独立行政法人 海洋研究開発機構 地球内部ダイナミクス領域 地球深部構造研究チーム
http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20090529/
2.背景
 大林主任研究員らは、マントルに沈み込んだスラブは、上部・下部マントル遷移層内に一旦滞留する(スタグナントスラブ)傾向があることを明らかにしてきました。

 日本海溝や伊豆小笠原海溝から沈み込んだスラブもこうした傾向にあり深さ660kmの上部−下部マントル境界の上でほぼ水平に滞留しています。スラブの滞留とそれに続く下部マントルへの崩落の過程は表層プレートの運動史を理解する鍵であると考えられますが、スタグナントスラブ自体の力学的性質やスラブが滞留するときどんなことが起こるのかはこれまで分かっていませんでした。


3.研究方法の概要
 スタグナントスラブの実態と周囲のマントル環境を明らかにするため、海底における地震・電磁波観測、西太平洋海洋島を中心とした広帯域地震観測網(当機構、防災科学技術研究所東京大学地震研研究所)や国内の高密度な高感度地震観測網HI-NET(防災科学技術研究所)などの地震観測網によるデータを組み合わせて、西南日本マントル遷移層に焦点を当てた地震波解析を行いました。

4.結果
 西太平洋域の地震観測網のデータを解析する等で地震波トモグラフィーの分解能を向上させたところ、日本海溝−伊豆小笠原海溝会合点下でスラブを示す地震波高速異常に鮮明な間隙があることを見出しました(図3(B) 矢印(a)、図4)。間隙は近畿地方下深さおよそ300kmから黄海下深さおよそ700kmにわたり見られます。この間隙はスラブの中で発生するはずの深発地震空白域と一致し、スラブの裂け目を意味しています。

 日本海溝と伊豆小笠原海溝は「く」の字型に曲がってつながっており、スラブもまた「く」の字型に沈み込んでいます。そのようなスラブがマントル遷移層に突入して水平に曲がるためには、会合点でスラブは裂けて隙間を作る(図3(A))か、液体のように流れて遷移層に溜まるかのどちらかです。
 今回のスラブの亀裂の発見は、マントル遷移層内でスラブは流れたりせず、地表のプレートと同じように割れたり裂けたりすることを示したもので、スタグナントスラブの力学的性質を観測から明らかにしたものです。

 また、地震波形の解析から、深さ350km亀裂の先端付近ではスラブ内の応力場が沈み込む方向に平行な圧縮場である周囲と異なり、水平方向の張力場であることが示され(図3(B)矢印(b))、これは現在でもスラブの亀裂が進行していることを表しています。

5.今後の展望
 地球の表層の挙動は、硬くて割れたり裂けたりする性質を持つプレートの運動によって説明されてきましたが、マントル深くまで沈み込んだスラブの性質について観測からわかることはごく限られていました。今回の画期的な発見をきっかけに、スラブの性質とその挙動についての理解が大きく進み、表層プレートの運動史ひいては地球進化の解読へとつながることが期待されます。



日本列島の地震活動/2015.5.30小笠原諸島西方沖地震
神戸大学名誉教授 石橋克彦さんのコメント http://blog.zaq.ne.jp/ishibashi/

 表記の地震の意味、東日本大震災との関連性、今後への影響などについて、私の考えを述べる。
【6月1日10:00追記:この記事を投稿後、気象庁がM8.1, 深さ682kmに修正したことを知ったが、本記事は訂正しないでおく。その修正の報道発表資料の図を見ると、本震の震源は、中小深発地震震源分布から100km以上も離れて孤立している。これは注目すべきことで、この領域のスラブ (下記参照) がどうなっているのか、今回の地震が本当に断層のズレだったのか、などに関して活発な研究がおこなわれ、貴重な新知見が得られるだろう/追記終。12:00にオホーツク海地震の深さ・出典を修正・加筆】

 2015年5月30日 (土) の20時23分に、小笠原諸島西方沖で巨大深発地震が発生し、東京都小笠原村と神奈川県二宮町で震度5強、埼玉県鴻巣市春日部市南埼玉郡宮代町で震度5弱を観測したほか、北海道から沖縄県までの全国で揺れを感じた。「深発地震」とは、深さ300km以深で起こる地震のことである。

 気象庁の速報値でM (マグニチュード) 8.5、震源の深さ約590kmとされ、新聞各紙の31日付朝刊には、世界最深・最大のまれな地震などという解説や専門家のコメントが載った。しかし、Mと深さは暫定値で、今後修正される可能性があることにも注意すると、後述のように、必ずしも世界最深・最大ではないかもしれず、とくに珍しい地震というわけでもない (ただし、M7以上の深発地震がときどき起こるこの地域としては、一番深くて最大) 。なお、米国地質調査所 (USGS) はMw (モーメントマグニチュード) 7.8、深さ約670kmとしている。気象庁もMwは7.8である (速報値) 。

 この地震は、小笠原諸島東方の伊豆・小笠原海溝から西向きに伊豆・小笠原諸島の下に沈み込んだ太平洋プレートの内部で発生した。沈み込んだ太平洋プレートを太平洋スラブというので、「スラブ内地震」と呼ばれるタイプである。
 【長周期地震動について 中略】

 1994年に、南米中部の太平洋側で、震源の深さ約630km、Mw8.2のボリビア地震が起きており、今回の地震が世界最大の深発地震というわけでもないだろう (ボリビア地震は南米プレートの下に沈み込んだナツカプレートの中で発生。南米の広範囲と米国でも揺れを感じ、死者10人などの被害を生じた) 。最近の日本列島周辺でも、2012年8月14日のオホーツク海南部地震 (Mw7.7, 深さ583km, USGS) 、2013年5月24日のオホーツク海地震 (Mw8.3, 深さ598km, USGS) などが発生している。

 気象庁USGSによる発震機構解 (メカニズム解ともいう;どのような力によって、どんな震源断層のズレが生じたかを示すもの) は、ほぼ鉛直の圧縮力と水平方向 (向きは東西) の伸張力によって太平洋スラブ (この地域では急角度で沈み込んでいて、鉛直に近い) がほぼ鉛直方向に短縮するようなもの (正断層型) である。

 なぜ今回の地震が起きたかは今後の研究課題だが、一つの見方として、以下のように、東日本大震災を生じた2011年3月11日の東北日本太平洋沖地震 (Mw9.0) の波及効果が考えられる。
 3・11の東北沖地震は、東北日本の陸のプレートと、日本海溝からその下に沈み込む太平洋プレートとの境界面が広範囲に破壊した「プレート間巨大地震」であった。つまり、3・11地震の発生によって、年間約8cmで西北西に移動する太平洋プレートに対する抵抗が東北沖で外れた。その結果、伊豆・小笠原海溝における太平洋プレートの沈み込みも若干促進されるセンスとなり、地下の太平洋スラブの下方への動きも多少大きくなって、スラブ最深部付近のほぼ鉛直圧縮力がやや増大したのではないかと推測される。それがスラブの破壊強度を超えて、巨大地震が起きてしまったのではないだろうか。
 2012年や2013年のオホーツク海の深発巨大地震も、同じようなカラクリで発生したのかもしれない。

 この考え方によれば、今回の深発巨大地震は、(局所的現象ではあるが) 太平洋プレートの沈み込みをさらに促進する向きに作用すると考えられる。そうであれば、(太平洋スラブの中で深発地震が続発する可能性に加えて) 伊豆・小笠原海溝沿いの浅い部分での大地震発生に繋がる可能性も考えられる (伊豆・小笠原海溝は、茨城県沖の第一鹿島海山まで続く) 。
 つまり、太平洋プレートと上盤プレートの境界面が破壊するプレート間 (巨) 大地震と、太平洋プレートの海溝以東の部分で岩板破壊が生じる「アウターライズ地震」の続発の可能性が、年単位の中期的スパンで考えられるのである。これらの地震は、今回の深発地震とは違って、地震動のほかに津波も発生させる。

 今回の地震の約7時間後、5月31日03時49分に、鳥島近海の伊豆・小笠原海溝の東側で、M6.3、震源の深さ約10km (気象庁) の地震が発生し、小笠原諸島から青森県までの太平洋プレート縁辺が揺れを感じた。USGSによる発震機構解は、北東-南西方向の伸張力による正断層型で、アウターライズ地震だと考えられ、上記の私の考えと調和する地震だとみなされる。

 なお、今回の小笠原諸島西方沖地震の発生も、3・11以降の日本列島ほぼ全域の地震活動活発化と同様に、東北地方太平洋沖地震の影響を受けていると考えるわけだが、列島の大部分の地域に関しては、上述のようなメカニズムではなくて、3・11巨大地震の発生に伴うアムールプレートの東進加速が本質的原因だと考えている。この考えについては、拙著『南海トラフ巨大地震ー歴史・科学・社会』で詳しく説明した。

口永良部島噴火 火砕流

 火砕流の本村方向への流下状況

 鹿児島県の防災計画では、北側の標高234mの尾根筋を火砕流は越えない想定になっていました。、墳火口から下った火砕流は、尾根にさえぎられ、「く」の字に曲がった谷に沿って、下っていく想定になっていました。
写真を見ると、尾根を越えて進み、途中で止まっているように見えます。
 もし、もっと大量の墳出物があった、火砕流の密度や温度が地形に影響されにくいものだったなど、噴火の条件が違っていたら、居住地域に直進していたかもしれません。
 また、墳火口の位置が想定と違うためなのか、古岳や北、東方向にも火砕流がある程度まで流れたという報告です。
 想定に対する専門家のの評価をききたいところです。

とにかく、死者が出なかったことは、幸運でした。

グーグルマップで、毎日新聞の写真と同じ方向からの画像を取ってみました。
稜線を越えたが、かろうじて、人家のあるところまで届かなかったように見えます。


口永良部島の火山活動解説資料 平成27年5月29日21時50分発表 気象庁


鹿児島県地域防災計画(平成26年度版)口永良部火山災害危険区域予測図(5-3-6ページ)

口永良部島 噴火 前兆とらえられず

口永良部島(鹿児島県屋久島町)では、本日(29日)09時59分に新岳で爆発的噴火が発生し、火砕流が新岳の南西側から北西側(向江浜地区)にかけての海岸まで達しました。噴煙は火口縁上9000メートル以上まで上がり、火口周辺に噴石が飛散しました。

 気象庁は、今回の噴火にマグマが作用しているとしていますが、マグマの動きをとらえることはできず、事前の警戒情報は、出せませんでした。
 水蒸気爆発(噴火)だけでなく、現状では、マグマ噴火でも、噴火の兆候を捕えることは、難しい火山が多いということだと思います。
 気象庁など関係の機関の直近のレポートをいくつか引用してみますが、中期的な危険性には、言及しているものの、その状態が続くことで、逆に、噴火の切迫性を薄めてしまっている。 なので、今回の噴火でも、住民の多くは、取るものもとりあえず、避難するしかなかった。(北西部の避難場所に集まれたのは、昨年の噴火の教訓が生きていた結果だと思います。)


 傾斜計での明瞭な変化は、見えません。
5月29日に発生した口永良部島の爆発的噴火について 気象庁 報道発表資料
http://www.jma.go.jp/jma/press/1505/29a/150529kuchinoerabu.pdf

口永良部島の火山活動解説資料   平成27 年5月29 日21 時50 分発表
福岡管区気象台 火山監視・情報センター 鹿児島地方気象台

http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/monthly_v-act_doc/fukuoka/15m05/20150529_509_2.pdf
<噴火警戒レベル3(入山規制)を噴火警戒レベル5(避難)に引上げました>
口永良部島で、本日(29 日)09 時59 分に爆発的噴火が発生しました。この噴火に伴い発生した
火砕流が、新岳の南西側から北西側(向江浜地区)にかけて流下し、北西側では海岸まで達し
たのを本村西の遠望カメラで確認しました。噴煙は黒灰色で、火口縁上9,000m以上に上がりまし
た。また、火口周辺に噴石が飛散しているのを確認しました。噴火は現在も継続しており、噴煙が
火口縁上1,200mまで上がっています。
本日(29 日)、気象庁機動調査班(JMA-MOT)は国土交通省九州地方整備局の協力を得て、口永
良部島上空からの観測を実施しました。その結果、火砕流は新岳火口からほぼ全方位に流れており、
特に北西方向ではっきりと確認
できました。また、火口の東側で火山灰を確認しました。
今後も、爆発力が強い噴火や規模の大きな噴火が発生する可能性があります。
火砕流の到達が予想される屋久島町口永良部島の居住地域では、厳重な警戒(避難などの対応)
をしてください。


火山名 口永良部島 火山の状況に関する解説情報 第43号
平成27年5月25日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(本 文)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>

1.火山活動の状況
(5月22日から25日15時)
 口永良部島の火山活動は活発な状態が継続しています。

 23日08時00分に発生した口永良部島付近を震源とするマグニチュー
ド2.3(暫定値)の地震(深さはごく浅い)では、口永良部島で震度3を
観測しました。
これ以降に震度1以上を観測する地震は発生していません。
震度1以上を観測したのは2015年1月24日以来です。

 噴火は発生しませんでしたが、新岳火口からの噴煙量は2014年8月3
日の噴火前に比べて多い状態が継続しており、白色の噴煙が最高で火口縁上
500mまで上がりました。また、同火口では、夜間に高感度カメラで火映
を時々観測しました。

 火山性地震を29回観測しました。火山性微動は観測されませんでした。

 GNSS連続観測では、2014年12月頃から山麓の観測点による基線
の一部で認められたわずかな伸びの傾向は2月頃から鈍化しています。

 22日から25日に気象庁機動調査班(JMA-MOT)が実施した現地
調査では、新岳火口からの活発な噴煙や同火口の西側割れ目付近からの噴気
を引き続き確認しました。新岳火口西側部分の熱異常域は引き続き認められ
ました。風下側で明らかに感じる臭気が認められました。

 20日(期間外)と24日に東京大学大学院理学系研究科、京都大学防災
研究所及び屋久島町が実施した観測では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり
500トンから1000トン(前回17日1200トン)とやや多い状態で
した。

 以上のように火山活動の高まりがみられており、今後、爆発力が強い噴火
や規模の大きな噴火に移行する可能性があります。

 5月22日からの火山性地震火山性微動の回数(速報値)は以下のとお
りです。

               火山性地震    火山性微動
   5月22日          1回       0回
   5月23日         14回       0回
   5月24日         13回       0回
   5月25日(15時まで)   1回       0回



平成27年 No.22 週間火山概況(平成27 年5月22 日〜5月28 日)
口永良部島くちのえらぶじま [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]

口永良部島の火山活動は活発な状態が継続しています。
白色の噴煙が最高で火口縁上800mまで上がりました。噴火は発生しませんでしたが、新岳火口からの
噴煙量は2014 年8月3日の噴火前に比べて多い状態が継続しています。また、同火口では夜間に高感度
カメラで火映9)を時々観測しました。火山性地震は多い状態で経過しました。このうち23 日08 時00 分
には島内を震源とするマグニチュード2.3(暫定値)の地震が発生し、屋久島町口永良部島公民館で震度3
を観測しました。震度1以上を観測したのは2015 年1月24 日以来です。これ以降に震度1以上を観測す
地震は発生していません。火山性微動は観測されませんでした。

GNSS3)連続観測では、2014 年12 月頃から山麓の観測点による基線の一部で認められたわずかな伸びの
傾向は、2月頃から鈍化しています。
22 日から27 日に気象庁機動調査班(JMA-MOT)が実施した現地調査では、新岳火口からの活発な噴煙や、
同火口の西側割れ目付近からの噴気を引き続き確認しました。新岳火口西側部分の熱異常域は引き続き認
められました。
24 日、26 日、27 日に東京大学大学院理学系研究科、京都大学防災研究所及び屋久島町が実施した観測
では、二酸化硫黄の放出量は1日あたり300〜500 トン(前回21 日700 トン)とやや多い状態でした。
火山活動は活発な活動が続いており、2014 年8月3日と同程度の噴火が発生する可能性があります。今
後、爆発力が強い噴火や規模の大きな噴火に移行する可能性もありますので、火山活動の推移を引き続き
注意深く見守る必要があります。
新岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。
向江浜地区から新岳の南西にかけて、火口から海岸までの範囲では火砕流に警戒してください。風下側で
は火山灰だけでなく小さな噴石1)が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。


平成27年 No.21 週間火山概況 (平成27年5月15日〜5月21日)
口永良部島 [火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)]

 口永良部島の火山活動は活発な状態が継続しています。
 噴火は発生しませんでしたが、白色の噴煙が最高で火口縁上600mまで上がりました。新岳火口からの噴煙量は2014 年8月3日の噴火前に比べて多い状態が継続しています。また、同火口では17日から21日にかけて、夜間に高感度カメラで火映9)を観測しました。
 火山性地震が時々発生しています。火山性微動は観測されていません。
 GNSS3)連続観測では、2014年12月頃から山麓の観測点による基線の一部で認められたわずかな伸びの傾向は、2月頃から鈍化しています。
 15日から21日に気象庁機動調査班(JMA-MOT)が実施した現地調査では、新岳火口からの活発な噴煙や、同火口の西側割れ目付近からの噴気を引き続き確認しました。新岳火口西側部分の熱異常域は引き続き認められました。風下側で明らかに感じる臭気が認められました。17日、21日の二酸化硫黄の放出量は1日あたり1,200トン、700トン(前回14日700トン)と概ね多い状態でした。
 噴煙活動等は継続しており、今後も2014年8月3日と同程度の噴火が発生する可能性があります。
 また、火山ガス観測や地殻変動観測によると、今後、爆発力が強い噴火や規模の大きな噴火に移行する可能性もありますので、火山活動の推移を引き続き注意深く見守る必要があります。
 新岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石1)に警戒してください。向江浜地区から新岳の南西にかけて、火口から海岸までの範囲では火砕流に警戒してください。風下側では火山灰だけでなく小さな噴石1)が風に流されて降るおそれがあるため注意してください。降雨時には土石流の可能性があるため注意してください。


全国月間火山概況(平成27年4月)

口永良部島では、噴火は発生しませんでしたが、火山性地震が時々発生し、火山ガスの放出量は多い状態で経過しています。また、夜間に高感度カメラで火映を時々観測したほか、現地調査では、新岳火口の西側割れ目付近の熱異常域内で温度の上昇が認められています。 以上のように火山活動の高まりがみられており、今後、爆発力が強い噴火や規模の大きな噴火に移行する可能性があります。新岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒してください。向江浜地区から新岳の南西にかけて、火口から海岸までの範囲では火砕流に警戒してください。

第131 回火山噴火予知連絡会 気象庁
口永良部島 (2015 年2月10 日現在)
○ 概況(2014 年10 月〜2015 年1月31 日)

口永良部島の新岳では、2014 年8月3日に噴火が発生して以降、噴火の発生はない。この噴
火以降、噴煙量がやや増加した。白色の噴煙が概ね100〜200mまで上がり、最高は火口縁上800
mであった。
10 月7日、8日に実施した現地調査で、新岳火口および西側割れ目付近で噴煙が上がってい
るのを確認した他、新たに新岳の南西斜面で噴気が上がっているのを確認した。赤外熱映像装
置による観測では、引き続き新岳火口縁の西側および西側の割れ目付近で熱異常域を確認した
ほか、南西斜面の新たな噴気地帯も熱異常域となっているのを確認した。11 月14〜15 日、12
月14 日、1月13〜16 日に実施した現地調査でも、同様の観測結果であった。
12 月18 日に海上自衛隊第72 航空隊鹿屋航空分遣隊の協力を得て実施した上空からの調査で
は、新岳火口では白色の噴煙が火口縁上50mまで上がっており、新岳火口の西側割れ目付近及
び南西斜面で噴気を確認した。また、赤外熱映像装置による観測では、新岳火口の西側から南
西側にかけての熱異常域の分布に特段の変化は認められなかった。
口永良部島では2014 年8月3日に噴火が発生して以降、噴火の発生はない。2015 年1月24
日に火山性地震が一時的に増加した。同日、23 時14 分に発生した、口永良部島付近を震源とす
マグニチュード2.2(暫定値)の地震(深さ5km)では、屋久島町口永良部島池田で震度1を
観測した。

二酸化硫黄の放出量は、2014 年10 月から11 月に1日あたり500 から700 トンと増加した。
その後さらに増加し、12 月に1日あたり1,000 から1,900 トン、2015 年1月に1,100 から3,100
トンと多い状態となっている。
GNSS 連続観測では、2014 年12 月頃から一部の基線にわずかな伸びの傾向が認められる。
新岳火口から概ね2km の範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に警戒が必
要である。
向江浜地区から新岳の南西にかけて、火口から海岸までの範囲では火砕流に警戒が必要であ
る。
風下側では降灰及び風の影響を受ける小さな噴石に注意が必要である。降雨時には土石流の可
能性があるので注意が必要である。
平成26 年8月7日に噴火警戒レベル3(入山規制)を切替えた。その後、警報事項に変更は
ない。


口永良部島くちのえらぶじま Kuchinoerabujima(鹿児島県)【常時観測火山】
北緯30°26′36″ 東経130°13′02″ 標高657m (古岳)(標高点) 口永良部島地図
http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/fukuoka/509_Kuchierabujima/509_index.html
口永良部島全景 東側から 1996年7月23日 気象庁撮影

概要
 長径(西北西〜東南東)12km、最大幅5kmのひょうたん形の島。 古い火山体である西部の番屋ヶ峰と現在まで活動を続けている島の中央部から東部を構成する新岳・古岳・野池山などの火山体からなる。 最近の10,000年間の噴火は古岳・新岳・鉢窪火山で発生している。
 古岳南西〜南東山麓には複数の安山岩質溶岩流が確認でき、7,300年前より新しいと考えられる。 この溶岩流を覆う火砕流堆積物は、古岳山頂火口を囲む火砕丘に連続しており、小林・他(2002)では、この堆積物中の木炭から約200年前の放射年代測定値を得ている。 このことから、古岳火口では数百年前まで火砕流を伴う噴火が発生していたと考えられる。
 新岳は古岳の北西に開いた崩壊地形内に成長し、新岳山頂部を構成する火砕丘は火山角礫層からなり、火山弾や冷却節理を持つ岩塊を多く含む。 また、複数火山灰層を確認できることから、古岳あるいは新岳で過去1,000年以内に複数回の爆発的なマグマ噴火があったと考えられる。安山岩のSiO2量は54.5〜60.5 wt.% である。

噴火活動史
 各火山について、地質学的な研究によってわかっている過去1万年の火山活動史を記載した。また、過去1万年間の噴火活動と有史以降の火山活動とに分けて記載した。

過去1万年間の噴火活動
 最近10,000年間の活動は、古岳・新岳・鉢窪火山で発生している。古岳火山南西〜南東山麓には複数の安山岩質溶岩流が発達する。 表層に分布する溶岩流の上面には鬼界アカホヤ火山灰層が認められないことから、現在の表層に分布する溶岩流は7,300年前より新しいと考えられる。
新岳火山から流出する新岳溶岩はその古地磁気解析から11世紀あるいは9世紀に噴出したと考えられている。


口永良部島ポータルサイト
http://kuchi-erabu.org/funka.html
噴火の歴史や昨年8月の噴火の体験なども紹介されています。